法人トラブル:訴訟提起か、訴訟回避か?ー弁護士の見解

Ç法律実務の豆知識企業法務・法人対応法人トラブル:訴訟提起か、訴訟回避か?ー弁護士の見解

徹底的な対立や訴訟だけが選択肢じゃない

弁護士に依頼することをイメージする場合、徹底的な相手方との対立や訴訟提起をイメージする方も少なくないかと思います。

しかしながら、実際はそのようなことはなく、特に法人におけるトラブルの相談の場合は、訴訟提起が望ましくないケースも少なくありませんので、どのように相手方と話し合いや交渉を進めていくことが望ましいのか、といった形で打ち合わせを進めていくことも多い印象です。

その際、相手方とどの点に考え方の食い違いがあるのか、相手方が一番拘っている点はどこか等をできる限り洗い出して、具体的な方針を定めていくことも大切です。

弁護士がオモテにでないことを選択することも

そして、相手方との話し合いや交渉を進めていく上で、弁護士が代理人(窓口)としてオモテに出るべきかどうかという点についても事案に合わせて選択していくことになります。まさにケースバイケースですし、依頼者の方の考え方も大切です。弁護士がオモテに出ることで逆に硬直化してしまう場合もあれば、弁護士が窓口となることで話し合いがスムーズ・建設的に進むこともあります。

特に法人内部でのトラブルの場合は(少なくとも最初からは)弁護士がオモテに出ない対応をとることが多いです。

紛争が顕在化した場合を想定した方針の策定が大切

上記のとおり、弁護士が依頼を受けた場合であっても、円満協議を進めることもありますし、弁護士がオモテに出ないことが適切と考えて(もちろん依頼者の方の意向を踏まえた上で)そのように進める場合もあります。

ただ、そのような場合であっても、弁護士が関与した協議・交渉の特徴としては、①相手方が協議において誠意のある姿勢を見せなかった場合や②お互いの譲れない部分が重なっており任意での話し合いによる解決が困難であることが判明した場合など、交渉決裂の可能性を念頭に置いた対応となることです。

交渉が決裂した場合には、訴訟等の法的手続へと移行することが多いですが、訴訟へと移行した場合は、訴訟提起前の交渉経緯が重要な意味合いを有することも少なくありません。

ですので、円満協議を目指した対応をする場合でも、事前に交渉決裂のケースをも視野に入れた交渉・協議の仕方が大切になってきます。

速やかな訴訟提起が適切なケースも

とはいえ、事案の内容によっては、話し合いによる解決の余地が見受けられない場合等は、弁護士を介した任意での交渉を試みることなく、速やかに訴訟提起を進めるべき事案もあります。

大切なのは、事案の見通しを的確に把握することと、依頼者の方の意向に真摯に耳を傾けて、具体的方針を決めていくことだと思います。